国内レポート-東日本大震災 靴業界の被害状況

(東日本大震災 靴業界の被害状況/シューフィルZAT’S No.33より転載)
東都組合員中「被害有り」は14社も、大半が通常の8~9割操業に戻る
東日本大震災は、言うまでもなく靴業界にも被害を及ぼした。津波に襲われた宮城、岩手、加えて原発によって過酷な状況下にある福島にも靴工場があるのは周知のとおりだ。
東都製靴工業協同組合は、経済産業省の指示もあり、組合員の被害状況調査を行った。
組合員134社中、東北地方に工場を持つ組合員は3社だが、被害の程度によらず被害「有り」と報告があったのは、14社。「無し」は58社。

「有り」の内容は、内外壁のひび割れ、柱のひび、ガラスの破損、また天井の一部崩落という報告もあったが、建物の躯体に影響を及ぼすものはなく、全体に軽微。製造設備については、5件と件数も少なく、内容も軽微だった。
また、建物・設備の被害は軽微だったものの、水道などのライフラインが断たれたことにより、再開の目処が立っていないところが、1社ある。
原発事故の影響を懸念するのが、婦人靴メーカー大手、新興製靴工業の福島・船引工場。
「当社工場は原発から40キロ。待避圏外だが、20キロ圏内に住む従業員が3名おり、気がかりだ。」(大野専務)。
被害無し、また都内であっても、震災直後の3~4日、操業を中止したところが、少なからずあった。原因は、交通機関が不通になったことによって従業員が通勤不可能になったこと、それに幹線道路封鎖やガソリン不足による材料供給のい滞り。また、東北地方に工場を持っていなくても、製甲を東北に下請けに出しているところは多く、アッパーが滞ったことにより操業できなくなった。
3月末時点では、東北を含め、大半が通常の8~9割の操業に復帰している。しかし、多くが危ぶのが、今後の市況だ。
新興製靴工業船引工場では「設備の被害は機械が倒れた程度、震災1週間後くらいから従業員が出勤し始め、現在は9割強が出勤。ただ放射能はやはり気になる。X線測定器を以前から用意していたので、線量を計測しつつ、操業している。また、従業員は兼業農家が多く、農地が使えなくなったことにより、収入は当社に頼らざるを得ない状況。それを支えるには、オーダーが順調であるであることが必須条件となる。今は支障は出ていないが、市況の順調な推移に期待したい」(大野専務)。
百貨店などの売場の状況は、震災直後は、前年比40%という落ち込みを見せたが、徐々に回復していると言う。
しかし、今後の焦点となるのは、計画停電の実施状況。
現在の市況も計画停電の実施状況による影響は大きく、計画停電が実施されないと、売上げ状況が好転という状況のようだ。夏場に向けての市況は、電力の供給状況に左右されそうだ。

文:シューフィル

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